『自己規律なしには何も得られない ポール J. マイヤー（１）～（40）まとめ』

（１）

私の友人のバーナード・ラポポートはテニスの愛好家ですが、そのプレーぶりは非常に強烈で集中力があり、ベストをつくすことに徹底しており、またその姿勢をビジネスや他の人生分野でも貫いて目ざましい成功を収めてきました。

私にとってあなどることのできないテニスのライバルです。もう10年にもわたって、彼は毎朝、友人を伴って私の家のテニスコートでプレーをしていますが、朝６時半きっかりに始めて７時15分きっかりに終わります。

７時15分になると、ボール、タオル、ラケットをしまい込み、コートを出て車に乗り、走り去ります。ゲームやセットの途中であろうが、なんであろうがお構いなく、時間になると判で押したようにプレーをやめるのです。

ある日、彼とその友人がプレーを終えたとき、私はたまたま近くにいたので、なぜいつも７時15分きっかりにやめるのかと尋ねました。

彼は立ち止りもせず、車に乗り込みながらこう言いました。「ポール、自己規律なしには何も得られないのさ。」こう言うと車のドアを閉めて、さっさと走り去って行きました。

私は笑って彼を見送りましたが、あとからよく考えてみると、その言葉の真実さに気がつきました。

「自己規律なしには何も得られない。」

（２）

私と同年代で世界一のテニス・プレーヤーは南アフリカ出身のラッセル・シーモアです。今はテキサス州オースチンのレイクウェイ・ワールド・オブ・テニスというクラブのプロとして活躍していますが、私が出会ったテニス・プレーヤーのなかでは最も自己規律の徹底したテニス・プレーヤーです。

彼は、食事にも、エアロビクスにも、練習、フィットネス、指導にも自己規律ができています。

彼は、どこに行っても、また誰が共にいようとも、10時きっかりに就寝します。驚異的な節制を続けた結果、過去25年にもわたって年齢別部門のトップに立ってきました。

彼は、「自己規律なしには何も得られない」という原則に立っているのです。

（３）

一人の学生が有名な作家ウィリアム・サロヤンにどうしたら作家として成功できるかを尋ねました。するとサロヤンは答えました。

「君の座る椅子に接着剤を塗って、毎日８時間タイプライターに向かうことだよ。」

彼が伝えたかったのは、作家として大成したければ自己規律がなければならないということです。

（４）

私は、つい最近、900ページもある「ある女性の充実した人生」（A Woman of Substance）という小説を読みました。これはエマ・ハートという貧困な家庭で育った女性の物語で、若い頃は家政婦として何マイルも歩いて通い、家では夜なべで裁縫をして収入を増やすように努めました。

彼女は、その貧困から何としても脱出するのだと、自己規律によって心に決めていたので、１セントたりとも無駄をせずに貯えようとしたのです。

彼女は成功のために必要な自己規律を実行することで自分のビジョンや夢、欲望を保持し続けました。自己規律の人生が描かれた900ページにもわたるその本の結末を読むと、彼女は大成してヨーロッパにいくつもの会社を持つ裕福なオーナーになったことを知るのです。

彼女も「自己規律なしには何も得られない」ことを学んだのです。

（５）

私は自分の様々な会社の中で、太りすぎの社員のリストを持っています。私はこれを内緒で「ファット・リスト」と呼んでいますが、時折、ウェイト・コントロールの雑誌記事をコピーして彼らに送っています。

その中の１人の女性は何年か前に経理部で働いていましたが、そのような記事を私から20回も30回も送られたので、ある日、自分も何かしようと決意しました。

彼女は自分の目標を立てて行動計画を書き、ほどよい食事、体操、アファーメーションなどの計画を進めました。

そして一年がかりで余分な脂肪を減らし、それ以来ほどよい体重を維持するようになりました。彼女もまた「自己規律なしには何も得られない」ことを学んだのです。

（６）

ラス・アンフェナー氏は20年ほど前に「アービーズ」というファストフードの店で働いていたときにSMIのクライアントになりました。SMIの代理店から最初のプログラムを購入したのですが、彼はその会社でスーパーバイザーになる目標を立て、次にマネジャー、そして遂にはオーナーになる目標を立てました。

彼にはお金がありませんでしたが、SMIプログラムを通して自己規律を学び、今では全米で200以上の「アービーズ」チェーンを展開するオーナーになりました。

彼は目標設定と自己規律ができたのはSMIのおかげだ、と言っています。

（７）

自己規律とは、さまざまな人生分野で成功を収められるような習慣と心構えを生み出すため、特別で望ましい行動様式を身につける訓練課程である、と言えます。

このような訓練は、最初はあなたの両親が教えてくれるものです。たとえば、礼儀、服装、健康管理、効果的な勉強法、正直さ、服従心、身だしなみ、などです。

後には、両親と共に学校の教師も自分の信念に従って、成功につながる首尾一貫した行動を生み出すために、習慣や心構えを教えようとしてくれます。

このような習得過程では、望ましい行動には励ましや報酬が与えられ、望ましくない行動は罰や承認の取消を受けます。

このように自己規律には、モチベーションが深く関わっています。

（８）

あなたの両親や教師は、罰による脅しや、報酬の約束を動機づけとして、あなたが習慣的、無意識的に望ましい行動を取れるようにと願いました。

このような自己規律学習の過程が成功すると、やがて子供は、次第に自分で自分自身の行動を監視するようになります。つまり、自分の内的なモチベーションによって自分の行動を管理します。

子供たちもまた「自己規律なしには何も得られない」ことを学ぶのです。子供がこの学習に成功したとき、その子供は自己規律にたけて成熟した大人となり、成功への準備が整ったことになります。

（９）

自己規律はとても大切なので、それがどこから来るものかを知り、そして強固な自己規律意識を着実に伸ばすためには何ができるかを知ると、大きな恩恵が得られます。

（10）

私はよく「規律を学ぶにはドイツ系の父親を１人持つだけで十分である」と言ってきました。私が若いころ、父が私に仕事を言いつけるときは、私が単にそれを完遂するだけでなく、正しい方法で、時間通りに、しかも自発的で熱心に遂行することを求めました。

父も明らかに「自己規律なしには何も得られない」ことを信じていました。

（11）

私は今でもはっきりと覚えていますが、休日にプルーンの農園で働いたとき、友人たちがトラックに乗ってサンタクルーズの海岸に行くのが見えました。他の子供と同じように私も海岸へ行きたいと思いました。

しかし私には、一日の楽しみよりも大きな目標がありました。すなわち、お金を貯めて自分のライフ・スタイルを永久に変えることを固く心に決めていたのです。

父は私に「自己規律なしには何も得られない」ことを教えてくれたのです。

私の友人があるとき、私にこう言いました。「知恵とは何を行うべきかを知ることであり、スキルとはその行い方を知ることであり、そして自己規律とはそれを実行することだ。」

（12）

あなた自身の自己規律感覚を強烈に伸ばす上で大切な源泉となるものが、三つあります。

その第一は揺るぎない価値観です。あなたが信じていることが正しく、名誉あるものであり、すべての人生分野にとって生産的な行動であることを、あなたが知っているとすれば、あなたは自分の選択、決断、そして行動の基盤となる一連の基本的な価値観を持っていることになります。

（13）

有名なバイオリニスト、フリッツ・クライスラーがあるコンサートで素晴らしい演奏をしたとき、聴衆の一人が彼のところへやってきてこう言いました。

「クライスラーさん、今晩あなたが演奏したように私も演奏できるようになれるのだったら、命を捨ててもいいと思います。」

クライスラーは答えました。「私はそうしているのです。」クライスラーは、自分の天性と能力を最高度に発揮してバイオリンをひくことに最大の価値を与えていたので、彼は命を捨ててこれに取り組んだのでした。

彼もまた「自己規律なしには何も得られない」ことを知っていました。

（14）

ウェイコに住むカート・カイザーは、クリスチャン・ミュージックの世界的に有名な作曲家でピアニストです。

カイザーが語るところによると、彼が子供のころ、父親はカイザーに毎日５時間もピアノの練習をすることを要求したそうです。この要求に最初は抵抗を感じましたが、やがて上達してくると、練習を楽しめるようになりました。

彼は自分の成功は幼少のころにしつけられた自己規律の賜物であると考えています。彼は「自己規律なしには何も得られない」ことを肌で体験したのです。

（15）

揺るぎない価値観に続いて自己規律を伸ばす第二の資源は、挑戦に値する目標を設定することです。

ある人は「自己規律はちょうど目覚まし時計を朝の５時にセットするようなもので、目標設定はなぜその時間に設定するかを知ることだ。」と言っています。

（16）

ランディー・スレクタ社長の友人でウェイコに住むブレッド・ミラー博士は、医師になる目標を立てた人です。

彼は家計を支えるために13歳のときから働き始めました。貧しかったので大学や医学部に進むお金が家にはありませんでしたが、自分にとってこれは重要な目標だったので、その達成に必要なことであれば、どんなことでもやりました。

大学時代は大変厳しいスケジュールで学費を稼ぎ、足りない分は学内ローンで埋め合わせました。医学部の大学院へ進むと学業と病院でのスケジュールは多忙を極めて働く時間が足らず、さらに多くのローンで学費を埋め合わせました。

自分の目標達成のために、大学の４年間と大学院での４年間に加え、５年間にわたるインターンと住み込みの研修期間を通じて、彼は自分自身に対して厳しい自己規律を課しました。

その結果、ミラー博士は目標を実現し、今ではウェイコで大変、尊敬される整形外科医となりました。彼は今でも同じような自己規律を自分に課して、未だに10万ドルも残っている学生時代のローンの返済に努めています。

ミラー博士は自分の目標を追求することを通じて「自己規律なしには何も得られない」ことを学んだのです。

（17）

揺るぎない価値観と挑戦に値する目標に次いで自己規律を伸ばす第三の源泉は、明確な優先順位です。たとえ自己規律ができていても、誤った行動を衝動的に繰り返すのでは何にもなりません。

（18）

ヨーロッパのある貧しい家族がアメリカに移民するために長い年月をかけて貯金しました。

ついに船に乗り込んだとき、彼らが持ち込むことができたのはパンとチーズだけだったので、注意深く食べつないでいました。

しかし３日もたつと、息子が「チーズ・サンドイッチはもう飽きちゃった。何か他のものを食べないとアメリカに着くまでに死んじゃうよ」と言いました。

そこで父親は売店でアイスクリームを買うようにと、家族の最後の５セント硬貨を少年に与えました。

ところが少年が戻るまでに、ずいぶん長い時間がかかりました。何をしていたのか聞かれると少年は「ステーキ料理にアイスクリームを３杯食べた」と言うのです。

「５セントでそんなに食べられたのか」と父親が尋ねると、少年は答えて言いました。「違うよ、食事はただなんだよ。船の切符には食事代も含まれてたんだよ。」

これからお判りのように、この家族の自己規律は無益でしたが、それは自己規律が不必要な行動に向けられていたからです。

彼らの優先順位は明確ではありませんでした。優先順位が明確な時にだけ、「自己規律なしには何も得られない」というルールに従うことができるのです。

（19）

松下幸之助氏は、1989年に94歳で亡くなりましたが、彼は日米の企業家たちに影響を与えたという点で、まさに伝説的な存在でした。

世界的にはパナソニックのブランドで知られている松下電器産業（株）の創始者であり、会長でもありました。

彼は家計を支えるために10歳で仕事につきました。彼が初めて働いたのは火鉢屋で、住み込みの丁稚として寝食付きで週５銭という報酬でした。彼は給料をもらう毎に、自慢げにそれを母に渡しました。

その後、彼は時の花形ビジネスである自転車店で働き、次には大阪の大きな電気会社に就職しました。職を変えながら彼は先輩達の仕事をよく観察し、ビジネスについて学べることすべてを学びとることを最優先の事柄としました。

そして松下幸之助氏は、1915年に24歳で、自分の家を工場にした電気製品の会社を設立しました。それからしばらくして、学ぼうとする断固とした決意の結果、彼は電気技師の資格を持つようになりました。

彼は明確な優先順位を持っていたので、「自己規律なしには何も得られない」という真理を学びました。

（20）

自己規律は、あなたの目標を達成するために必要な成功の心構えと成功習慣を身につけるための基盤となるものです。

自己規律の重要な成果の一つは忍耐力で、これはどんなに長くかかろうとも、目標達成まで自分の行動計画に固執してゆく能力です。

（21）

マイケル・ジョーダンはバスケットボールの偉大な選手ですが、彼は忍耐力を通して大成しました。

高校時代のころ、バスケットボール部の代表チームに応募しましたが、彼の兄と親友は選ばれたのに彼は選からもれてしまいました。

そこで彼は何としても上達するのだと心に決め、コーチにその方法を習い、練習を始めました。彼は自己規律を発揮して毎日一人で、あるいは兄と二人だけで練習に励みました。

高校１年から２年にかけて身長が10センチ伸びて188センチになりましたが、彼が代表チームに選ばれたのは身長が伸びたからではなく、粘り強く自己規律を発揮したからでした。

彼は「自己規律なしには何も得られない」ことを知っていたので、プロ・バスケットボールで最も偉大な選手となったのです。

（22）

バッハ、ベートーベン、モーツァルトといった偉大な作曲家は、ただ手をこまねいてインスピレーションが湧くのを待っていたのではありません。

作曲という仕事に来る日も来る日も一貫して集中し、その結果、自分自身のインスピレーションを作り出したのです。

彼らも「自己規律なしには何も得られない」ことを知っていました。

（23）

私の近所に住むディック・フランシスは34冊もの小説を書いた作家です。今年で73歳ですが、先日、話があるので彼を私の家へ呼ぼうと思い、彼の家に行きました。その素振りから忙しいのが読み取れましたが、彼は大変礼儀正しい人物で、ドアのところまで来てくれました。

聴きたいと思ったことを尋ねたところ、彼は「ポール、すまないが今時間が無いんだ。５月中に渡す原稿を書き上げなければならないんだ。」私たちがこの会話を交わしたのは１月のことでした。

彼が作家として優秀なだけでなく、34冊もの小説を書くことができたのは「自己規律なしには何も得られない」ことをわきまえていたからです。

（24）

私は19歳のとき保険のセールズの仕事をしようと心に決めましたが、採用されるまでに57もの会社に断られました。

私はセールズで成功したいという強い欲望があったので、自己規律をもって粘り強く職を探し、遂に自分にチャンスを与えてくれる職場を見つけました。

私はそのとき既に「自己規律なしには何も得られない」ことを知っていました。

（25）

その職についてから、成功するのに必要なセールズ・スキルを身につけるまで、思った以上に時間がかかりました。

単に職を得たということは、成功への魔法の切符を手に入れたことではなかったのです。

私は成功したセールズ・パースンを研究し、観察し、そしてそれを自分でも実行し、身につけていきました。誰も信じられないような長時間を仕事に費やしました。

私はどんな報酬もすぐには手に入らない、ということを自分自身に教えるために、自己規律の力を発揮しました。

間もなく私は会社のトップ・セールズパースンになり、未だに破られることのないセールズ記録を達成しました。

私は「自己規律なしには何も得られない」ことの生き証人です。

（26）

ある人が南アフリカ出身の世界的なプロ・ゴルファーであるゲーリー・プレーヤーに「あなたは難しいホールではラッキー・ショットが出る」と言いました。

それに対してプレーヤーは笑ってこう言いました。「自分自身に規律の力を働かせて練習を重ねれば重ねるほど、ラッキー・ショットが出ることに私は気づいていますよ。」

彼は「自己規律なしには何も得られない」という秘訣を知っていたのでした。

（27）

自己規律は高いセルフイメージを作り出します。

何年も前のこと、SMIのディストリビューター、シャーリー・ラッド・オットレーは自分が45キロもオーバー・ウェイトであることに気付きました。その結果、やる気をなくしてビジネスをうまくこなせなくなっていました。

ある年、SMIのコンベンションに参加して、自分が健康上の習慣について自己規律がまったくなかったことを認めることになりました。

そこで翌年のコンベンションまでに理想的なサイズに戻ることを目標に掲げました。彼女は自分の目標を達成するには多くの困難が伴うことを知っていたので、徹底して行動計画を立てて、この達成に備えました。

（28）

食事の摂取や運動のプランを注意深く立て、厳格なまでにそれに従いました。

彼女は自己規律とモチベーションを堅持するために、自分が目標とするサイズのマネキンを買い、それにブルーのドレスを着せ、自分のベッドルームの隅に立てておきました。

毎日、そのドレスを見て、自分が着られるようになったら、どんな風に見えるかと思いを馳せ、目標に向かって自分の行動に自己規律の力を働かせました。

目標に近づくにつれて、彼女は失っていた高いセルフイメージを取り戻し、セールズの成績も回復しました。

翌年のコンベンションが近づいた頃には、彼女は45キロ以上も体重を落とし、例のブルーのドレスを着て、アウォードの表彰式に出ることができました。

彼女は自分に対して自信と誇りをもつようになりました。なぜなら「自己規律なしには何も得られない」ことを体験したからです。

（29）

ノーマン・シュワーツコフ将軍は、かつてヘリコプター整備の責任を負わされたことがありました。常時どのくらいの機数が飛べるのか聞いてみると、75％という答えが返ってきました。

それは決して74％でもなく、76％でもありませんでした。というのは隊員はいつも75％を保持しておくよう命令されていたからです。

シュワーツコフ将軍は隊員に言い渡しました。「自分はヘリコプターの整備はまったく分からないが、規律については知っている。ここに新しい基準を設ける。85％だ。そしてこの基準を満たすまで、毎日、皆で励むのだ。それ以下のものは受け付けない。以上。」

すると間もなく、85％の機数がいつでも飛べるようになり、全員が、その基準を満たすのだと自然に考えるようになりました。

シュワーツコフ将軍は、自分自身とその部隊に対して「自己規律なしには何も得られない」ことを証明して見せたのです。

（30）

人間というものは、自分が期待されている通りのことを行ってしまうのが通常ですから、大きなものを期待することが大切です。

そして、自分が期待することを実現するだけの自己規律を持っていると、あなたは高い期待を抱けるのです。

（31）

時には、規律ある生活は厳しすぎる、制限が多すぎる、と感じるかも知れません。しかし規律を実行する能力は、どんな見かけの困難よりも、大きな恩恵をもたらします。

私の孫のマイク・マイヤーは、学生数５万人のテキサスＡ＆Ｍ大学の２年生です。

テキサスでのアメリカン・フットボール最大の対決と言えば、「テキサスＡ＆Ｍ大学」対「テキサス大学」でしょう。

昨秋、両校の試合の日が近づくと、マイクの属する学生会が大きなパーティーを計画して全員分の試合のチケットを購入しました。

しかし、マイクには試合の翌日に試験が控えていました。

（32）

マイクは、自分の願う成績をあげるには、どれだけ準備しなくてはならないかを掴めるようになっていたので、試合の日は丸一日、勉強しようと決心しました。

彼のルームメイトや学生会の友人は、マイクが年に一度の大イベントを見にいかないと聞いて、信じられない思いでした。しかし、彼は耳を貸しませんでした。

試合の翌日、マイクを含めた193人の学生が、同じ試験を受けました。後に成績が発表されると、マイクは、上から３番目でした。彼は、満点が4.0のところ、3.75という高いグレート・ポイントを維持しています。

マイクは、自己規律を通して、自分の全人格を一段と伸ばすことができたのです。

彼も「自己規律なしには何も得られない」ということを知っています。

（33）

自己規律は、成功への習慣と心構えを育てます。

成功するためには、何か特別なことを行う必要はありません。当たり前のことを、特別に良く行うのです。

（34）

トーマス・エジソンは、汽車の中で新聞を売る仕事から身を起こしました。

後に電球や、蓄音機、シネカメラなどといった発明で成功しても、あるプロジェクトを終えるのに、必要とあらば日に20時間働くことも意に介さないほど、自己規律に徹していました。

彼も「自己規律なしには何も得られない」ことを知っていたのです。

（35）

自己規律は自信を生み出します。

ロジャー・バニスター博士が1954年に１マイル競走で４分の壁を破ったとき、それは身体的な調整やトレーニングより、むしろ精神的な自己規律のおかげであった、と説明しています。

彼はまず四分の三マイルを３分以内で走ることを目指しました。もし、それができたら、残りを同じペースで走れることが分かっていたからです。バニスターは規律のあるトレーニングと身体調整に励んでいましたが、それで十分ではなかったのです。

彼は自分の心が身体に１マイル４分以内で走るための適切なメッセージを送れるよう、まず自分の心に「１マイル４分以内で走れるのだ」と信じさせる必要がありました。

適切な身体的鍛錬に裏打ちされた精神的自己規律が成功をもたらしたのです。

バニスター博士が成功したのは、「自己規律なしには何も得られない」ことを知っていたからでした。

（36）

自己規律は、目標に対する集中力を高めます。

集中力を持続させる上での障害の一つは、他の人たちがあなたを批判したり、軌道から逸らせようとすることです。

（37）

小児麻痺のワクチンを開発したジョナス・ソーク博士は、その独創的な医療研究について、同僚たちからいつも批判されていました。

批判には、三つの段階がある、と彼は言っています。

第１は、「君は間違っている。それは成功しない。」

第２は、成功の兆しがあるのを見ると、「たいして重要なことじゃない。」

第３は、真に重要であることに気づくと、「ずっと前から君は成功すると思っていたよ。」

（38）

ソーク博士は、「批判に対処する最善の方法は、自己規律によって自分自身の目標に向かう姿勢を持続させ、そして結果を出すことだ。」と言っています。

（39）

結果が出たときに、それが本当に重要であると認める人は、あなたを賞賛し、それが分からない人は、結局あなたを批判するのです。

ですから、自己規律を課し、人が何を言い、考え、行っても、軌道から逸らされることを頑なに拒んでください。

そして「自己規律なしには何も得られない」ことを忘れないでください。

（40）

あなたが、ビジネス（職業）と人生で高い目標を達成したいのであれば、あなたが手にしている最善のツールの一つは自己規律です。

ここに、あなたが成功を収めるための自己規律のルールを挙げておきましょう。

１．自己規律によって、自分自身の価値体系を確立し、それを自分の行動と決断のガイドとせよ。

２．自己規律によって、挑戦的な目標を設定し、その達成のために詳細な計画を立てよ。

３．自己規律によって、あなたが目標を達成するための行動を完遂せよ。

４．自己規律によって、あなたの能力とスキルを磨き、高めよ。

５．自己規律によって、自分の時間を生産的に管理せよ。有益に使える時間をみすみす無駄にすることは、頑なに拒否せよ。

６．自己規律によって、あなたのSMIプログラムを毎日、学習せよ。

７．自己規律によって、トータル・パースンになれ。六つの人生分野、すなわち、健康と身体面、教養と教育面、社会と文化面、経済と職業面、精神と倫理面、家庭と家族面のすべてにおいて目標を達成できる人間であれ。

ビジネス（職業）においても、人生においても、「自己規律なしには何も得られない」のです。

　（完）

　＜SMI創立者　ポール J. マイヤー＞

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